2025年10月24日

皆さんは「歯周病」と聞くと、どんな病気を思い浮かべますか?
実は歯周病は、虫歯と並んで歯を失う大きな原因のひとつです。日本人の成人の約8割がかかっているともいわれており、決して他人事ではありません。しかも、痛みが出にくいため気づかないうちに進行してしまうのが怖いところです。
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク(歯垢)が原因で起こります。プラークの中の細菌が歯ぐきに炎症を起こし、腫れや出血などの症状が現れます。初期の段階では「歯肉炎」と呼ばれ、しっかりとしたケアで改善することが可能です。しかし、そのまま放置してしまうと炎症が深く進行し、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく「歯周炎」へと悪化します。最終的には歯がグラグラし、抜け落ちてしまうこともあります。
さらに近年では、歯周病が全身の健康にも影響を与えることがわかっています。歯周病菌や炎症物質が血流に乗って全身に広がることで、糖尿病の悪化や心臓病、脳梗塞、さらには早産・低体重児出産などのリスクを高める可能性があるといわれています。お口の健康を守ることは、体全体の健康を守ることにもつながるのです。
歯周基本治療とは、歯周病の進行を止めるための最初の大切な治療です。主に、毎日の歯みがき指導や歯石・プラークの除去(スケーリング)、歯ぐきの中の汚れをきれいにする処置(ルートプレーニング)などを行います。これらの治療によって、炎症を抑え、歯ぐきが引き締まり、出血や腫れが改善していきます。重度の歯周病でも、まずはこの基本治療でお口の環境を整えることが重要です。痛みも少なく、体への負担も少ない方法ですので、安心して受けていただけます。
歯周病を予防するためには、毎日の正しいブラッシングと、定期的な歯科検診が欠かせません。歯ブラシだけでは取りきれない汚れは、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってしっかり除去しましょう。そして、歯科医院での専門的なクリーニング(PMTC)を受けることで、歯石やバイオフィルムを効果的に取り除くことができます。
「歯ぐきが腫れている気がする」「歯みがきのときに血が出る」「口臭が気になる」などのサインは、歯周病の始まりかもしれません。少しでも気になる症状があれば、ぜひ早めにご相談ください。早期発見・早期治療が、歯を守る一番の近道です。
当院では、患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせた歯周病の予防・治療を行っています。定期的なメンテナンスで、いつまでも自分の歯でおいしく食事を楽しめるように、ぜひ一緒にお口の健康を守っていきましょう。
